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【ベトナム大学偏差値ランキング(国立大学編)】

更新日:2023年2月21日


ベトナムでの人材採用活動において日本国内と異なる点は応募者の学歴をどう評価するかです。日本国内と同じく履歴書にはほぼ必ず学歴の項目があり、出身大学・学部が明記されています。日本国内の大学であれば、大学名・学部名を聞いただけである程度の入試難易度や学力レベルが判断できるものですが、ベトナム国内の大学についてはそうした知見・勘がある方は少ないのではないでしょうか。

採用担当者にとって学歴は応募者の基礎学力・論理的思考力を評価する上で一定の基準であり、未経験者や若手人材が多いベトナムにおいては「未来の職務遂行能力」を予測評価する上でそれなりに重要な情報です。


そこで今回はベトナム人大卒者の学歴を「定量的に判断する指標を」ということで、日本人にとっては馴染み深い偏差値を算出してみます。



【ベトナム大学の入学試験プロセス】

まずはベトナムの大学の入試プロセスを簡単に説明していきます。

最も有名なテストがKỳ thi tốt nghiệp THPT(以下、国家統一試験)になります。こちらは全国の大学で採用されております。

続いてが、kỳ thi Đánh giá năng lực (コンピテンシー評価試験、以下ĐGNL) です。

こちらはホーチミン市国家大学群内の大学で採用されています。


例として、ホーチミン工科大学の入試要項を列挙します。


”ホーチミン工科大学では、複数の入学方法を適用しています。受験者はそのうち1つまたは複数の組み合わせでの入学試験への応募申請が可能です。(カッコ内は総入学者数の内、割り当てられる合格者率)

1. 国家統一試験による入学者(30%〜60%)

2. ホーチミン市国家大学の規定により優先的な措置を受ける入学者(10%〜15%)

3. 教育訓練省およびホーチミン市立大学の入学規定による直接入学者(1%〜5%)

4.1 ĐGNL第一期による入学者(30%〜60%)

4.2 ĐGNL第二期による入学者(5%)

5. 国際登録証明書を保有している者または外国人志願者の入学者(1%〜5%)

6. 海外大学留学のために必要なベトナム国内大学の入学資格取得を目的とした入学者(1%〜5%)



http://tuyensinh.hcmut.edu.vn/admission/index.php?route=catalog/chitietts&path=64_66&tid=1849



とあるように、1.国家統一試験(全体の30-60%)と4.ĐGNL(全体の30-60%)から大半の入学者が選抜されていることがわかります。


【偏差値を算出してみる】

では、実際に偏差値を算出していきます。

まずは偏差値の算出に必要なデータとして、


・得点の度数分布

・各大学・学部の合格最低点(điểm chuẩn)


を集めていきます。


今回は2020年度のデータを使用したいと思います。

ベトナムの教育省から、2020年度の国家統一試験の得点分布が正式に発表されています。



ĐGNLから偏差値を導き出すことも可能なのですが、今回は「国家統一試験のデータのみ」を使用します。

一応ですが、2020年度のĐGNLの得点分布はホーチミン市国家大学から正式に発表されております。


続いて、各大学・学部の合格最低点(điểm chuẩn)のデータを収集します。

今回は、「ベトナムの国家大学(ハノイ市・ホーチミン市)のみ」の集計となります。



他の大学については、公式発表ではないですが、以下のリンクから調べることが可能です。



国家統一試験を受験する学生は基本的に3科目を受験する必要があります。選択した科目によりA00、A01、B00…のようにグループ分けされます。

以下が基本のグループ分けになります。


A00グループ・・・数・物・化(受験者数284854)

B00グループ・・・数・化・生(受験者数284011)

C00グループ・・・国・歴・地(受験者数540279)

D00グループ・・・国・数・英(受験者数745527)

A01グループ・・・数・物・英(受験者数276896)


また、細かい科目の違いによってD00、D01...のように分類が異なります。


例えば、下の表の一番上の行にあるコンピュータ・サイエンス学科の場合、A00またはA01を選択する必要があり、合格基準点(điểm chuẩn)は28点となります。





なお40点満点の学部は合格最低点を3/4に圧縮して偏差値を算出しております。


【偏差値ランキング】

それでは偏差値を発表していきます。


※ベトナム国家大学ホーチミン市校→HCM、ベトナム国家大学ハノイ市校→HN と略しております点、予めご了承くださいませ。

※ベトナムの大学には、"Chương trình chất lượng cao" と呼ばれる、英語等で行われるコースがありまして、それについては一般的にCLCと略されることが多いので、(CLC)と学科名の後に付けております。


※異なる受験科目グループ間では算出基準が異なるため、単純な偏差値数値の比較はできませんのでご注意ください。


A00グループ(数物化)


まずは、A00グループ(数物化)の偏差値ランキングです。理系の学部がメインになります。




B00グループ(数化生)


続いて、B00グループ(数化生)の偏差値ランキングです。医学・生物・化学がメインのグループです。




C00グループ(国歴地)


続いて、C00グループ(国歴地)の偏差値ランキングです。文系の学部がメインです。




D01グループ(国数英)


続いて、D01グループ(国数英)の偏差値ランキングです。文系の学部がメインです。




A01グループ(数物英)


続いて、A01グループ(数物英)の偏差値ランキングです。理系の学部がメインです。



どの産業分野に優秀なベトナム人人材が集まっているのかを判断することもできるのではないかと思います。

今回は同年度での比較ではありましたが、時間軸での比較も含めると面白い結果があります。

例えば、ここ数年、情報系学部の偏差値が急激に上昇していることから、今後、優秀なベトナム人が、よりIT分野に集中してくるのではないかと予想されます。



以上になります。



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