• Ayu Obara

Grasp!の在り方:その人の生き方・大切にしているものはなにか?を考えるキッカケとしてのキャリア・カウンセリング

最終更新: 2019年8月28日




Grasp!代表・熊澤がベトナムに来るまでの経緯

熊澤:

ベトナムには1996年、学生時代に3か月間のバックパック旅行で初めて来ました。当時、戦後20年を迎えたベトナム戦争やカンボジア内戦に興味やシンパシーがありました。

カンボジアから入国し、中国・雲南方面に出国するまで、南北を縦断しました。

それ以降は、2011年にこちらに移住するまで一度も来ていないです。


これまで通算50カ国ぐらいの渡航歴がありますが、90年代半ばのベトナムは強く印象に残っている国の一つですね。

しかし1999年の大学卒業後2011年にベトナムに来るまではすっかり忘れてましたね。いろいろありましたが、ドメスティックな東京の独身生活をエンジョイしておりました。

↑バックパッカー時代(1997年当時)

私のキャリアとして、まず転機となったのは2011年の東日本大震災です。当時35歳、東京在住の無職・独身でした。ちょうどその日は転職活動中で面接に行っていたのを覚えています。

ご存知の通り、東京都心部は交通網が麻痺してしまい、私も帰宅困難者に。


横浜から当時住んでいた笹塚(東京都渋谷区)まで徒歩で帰宅中、その日は強風だったたことを覚えています。神奈川から東京側に渡る橋の袂から東京湾側を見ると、海の彼方に大火災が起きているのが見えたんです。ですがそれに関して、のちのちにも特にニュース報道がなかったんですよね。それが何故かひっかかっており。。。




もともと海外志向だった訳でも無いのですが、震災後の先行きが見えない不安もあり海外に行こうと考えるようになりました。


学生時代に旅行で長期間過ごした経験があったことから転職先はベトナムを候補地として就職活動をしました。他の国は考えていませんでしたね。人材紹介会社も結局利用しませんでした。


ベトナムで最初に勤務した会社ではベトナム外からの転職組としては初の外国人現地採用者として入社することになりました。



前職・前々職での業務を通じて感じていた違和感から起業まで

熊澤:

私はもともと異業種出身で人材紹介会社での経験も無く、正直言うと特にベトナムに対する思いも無くベトナム生活を始めました。当初は右も左もわからない状態ですね。


ですが、仕事をしていく中でキャリアカウンセリングの仕事に対する思いがどんどん強くなっていきました。

思いが強くなればなるほど、人材業界の在り方、ビジネスのやり方などに対する疑問や不信感が出てきて、それらを解消すべく他社研究や業界研究、キャリアコンサルティングに関する学術的な探求をするようになっていきました。


「ベトナムの人材紹介サービスって、お客さんと求職者、つまり履歴書情報と求人情報の交換をしているだけだよね」


と言われることがあります。


そうした反応に対して、実際に中でやっている者として、本来なら、仕事をする上で何故この仕事やってるのか?まで突き詰めないといけないのかな?なんてうっすらと考えるようになっていました。


そうした中で、お客様や求職者が本当に満足しているのか、そして社員たちが仕事に幸せを感じているのか、さらに疑問に感じているようになっていました。



↑前々職の人材紹介会社勤務時代

具体的には、勤務先の従業員たちは売上が上がっても上がらなくても疲弊しているか、本質的にはどこか無関心で、幸せそうに見えませんでした。

そういう環境に嫌気がさして辞めてしまう人も少なからずおり、残念ながら離職率が高い業界の一つでもあります。


「日本人である私がベトナムくんだりまで来て何をやっているのだろうか?」


という感じです。


当時、管理職をやっていたこともあり、そういう後ろめたさが常にありました。

その原因を探っていくと、内部要因としての自分自身のあり方はもちろんなのですが、外部要因として従来の組織の在り方、人材業界のビジネスモデルに由来するのではないか?と思うようになりました。


現状の日本は人口減・少子高齢化という点では後戻りできない状況であり、また世界的にみても大規模企業のみが生産性を向上させていく中、人材ビジネスを既存の枠組みで続けて良いのだろうか?海外にいる日本人の生き方に対して提供出来る価値は何なのかということを考えるようになりました。


そうした中、前職企業の状況の変化などもあり、退職・独立することを決めました。そして2017年のGrasp!設立に至ります。




求人紹介・人材紹介を無理強いしない


熊澤:

今後の日本経済、国の状態に関しては現時点ではあまり明るい期待が見出しづらく、先行きの見えない焦りや不安を抱えている人は多いのではないでしょうか。

個人・企業いずれもそうした先行き不安の中、いかに生きるかを考え、具体的な機会・手段・気付きのきっかけを人・仕事という形で提供するのがGrasp!の存在意義だと思っています。


現時点での問いとして”どういう価値を提供できるか?”というのは、ベトナムに来てから今までに自分がやってきた仕事に対するアンチテーゼでもあります。

自らを変える⇒経営を変える⇒ビジネスモデルを変える⇒結果的に関わっている人を変えていく、ということ、そのように存在している事自体をGrasp!そのものの意義としていきたいと考えます。


具体的な提供サービスとしては、企業が求めるもの、求職者が求めるものを単に希望条件のマッチングだけでなく、その企業・人が本質的にどうなりたいか・どうありたいか、何を大切にしているのか、を問題提起をしていくことです。

また、そうした本質的なことを考えるキッカケを与えるという事も重要だと思います。


そのため、Grasp!のキャリアカウンセリング・採用支援サービスでは厳しい事実に基づいて正直に話すことが多くあります。青臭いことも構わずということもあります。

ベトナム就業・転職への適性が低いと判断する日本人求職者や外国企業で勤務することへの理解が足りていないベトナム人求職者にはハッキリとそのように伝えますし。ダメなものはダメであり、ベトナム転職や日本転職、日本人現地社員の無理な雇用をおすすめすることはありません。

その人・企業が”大切にしているもの”を基に現実との結節点を探していくお手伝いをするイメージですね。直接的な売上・成果に結びつかなくても何かしらこれまでにない「気付き」を持っていただけるということでもあります。

それがその人・企業にとって、本質的な解決・改善についてゼロベースで考えるきっかけになるのではと期待するからです。


キャリアカウンセリング=自己定義・自己認識のきっかけ



熊澤:

キャリアカウンセリングの仕事は、求職者さんに仕事を紹介して、マッチングさせて、晴れて就職したら終わり、というシンプルなものではありません。

会社や仕事があっても無くてもその人の人生は続いていく訳です。

少し飛躍しますが、結局、まずはキャリアカウンセラーである自分たちが自らの人生をしっかり見据えないと求職者の人生の一部である「キャリア」について考えることなどできないということです。


キャリアカウンセラー・採用支援相談員として企業や求職者と密度の濃い深い話をしますが、本質的なところは結局、自分自身を見つめること=自己認識・自己定義なんだと考えます。

”なんで自分はこのビジネスをしてるのか?=自分の人生を考える”ということだからです。

答えなんて見えないですし、答えを出す必要もないとすら考えますが、日々、答えの無い疑問を持ち、真摯に向き合う事が大切なのではないでしょうか。


↑友人でもある旧知のクライアント様と

Grasp!のキャリアカウンセリングでは、求職者にその人が何を大切にしていて、どう生きたいのか、その人の生き方に関して質問します。

それがその人にとって生き方を考えるキッカケになればいいと思っています。さらにいうと、その質問の答えをご本人に考えてもらうこと自体が大事なんです。


それが売上に繋がるのか?と聞かれると数値化しにくいものではありますが、本

質的な失敗は減ります。本人が妥協点に納

得しないと上手くいかないし時間の無駄を避けられる。


何よりも、それが売上に繋がるかは分からなくとも、自分が納得すること、自分自身を高めるやり方をしていくことは、売上にも繋がるやり方でもあり、ビジネスの本質でもあると信じています。


2017年12月設立から一年半の間に起こったこと、考えたこと


熊澤:

Grasp!設立から1年半経ち、日本人・ベトナム人スタッフの退職・入れ替わりもありました。それには、会社の責任つまり私の責任が大きくあると思います。

それは一体何なのか?

成果と本人のモチベーションと海外で働くこと、会社が社員に対して何を提供すべきなのか、何も提供しないべきなのか、そもそも会社とは何なのか?それらがハッキリと自分の中でまとまっていなかったからだと感じています。


その中で設立当時と比較すると、日本では年金問題やトヨタ自動車が発表した終身雇用の崩壊などが起こり、それらを考えた時に海外在住日本人として、海外での日本人のキャリアを考える立場として改めてGrasp!が提供出来るものは何かを追求したいと思うようになりました。


Grasp!が目指してるもの




Grasp!が模索する雇用主と従業員の在り方・仕事への取り組み方


熊澤:

人材紹介ビジネスは元手がかからない利益率が高いビジネスとして知られておりますが、その実態は経営者が多くの収益を手にし、社員に十分な還元ができていない事が多いのです。

Grasp!では経営者である私が総取りせず、特に成果を出した社員に収益を「シェアする」という考え方をコアな方針として持っています。


私自身、無根拠かつ過度な上下関係は好きじゃないですし、仮にサラリーマン時代に「自分は搾取されていた」とネガティブに理解したとしても、自分が社長になった時に社員から搾取するようなことはしたくありません。

そのやり方で世の中が上手く回っているようには思えないので。青臭いですが、これまでの世の仕組みに歯止めをかけたいです。


そんな事を考えていた社員時代には、「ティール」(*)の世界観やその具体的な枠組みである「ホラクラシー」に出会い深く関心を持ち、現在はその考えに基づいたビジネスモデルを実践しているところです(* 後日、当サイトで連載予定)。



↑愛娘と過ごすオフの日

会社員であれば、業務を遂行する上で上司や経営者の意向に沿うために、自分自身の考えとは相反する事であっても自分に嘘つかないといけない場面がありますよね。

私自身は、そういう気持ちがあっても仕事は遂行出来たんです。でもそこに違和感を感じていました。

そうしているうちに経営者に対する負の感情が強くなっていき、経営者と関わっていくのが嫌になっていきました。

今考えると、それは私自身の認知の歪みであったと思います。

結局、自分に正直でいたい、というのもGrasp!起業の理由の一つでもあります。       


自分で意思決定出来るという立場である今は、できないものはできないと正直に言うようにしています。それには勇気も必要です。

仕事において嘘をつかない、真実に基づいたことしか言わない、そして何より自分の子供に後ろめたい気持ちにならない仕事をする。それは、巡り巡って自分のためになりますからね。



人生にとっての仕事の在り方


熊澤:

大企業であっても倒産するこの時代。会社に依存しない独立的な考え方、生き方をしていく人が増えていかざるを得ないと思います。

必ずしも独立、起業という意味ではなくて、組織の中にいてもその中で自分がどう在るか、どう働くかをそれぞれが独立的にしっかり考え・実践する

こういう自己定義を持ったビジネスマンが今後、日本・ベトナムにどんどん増えていってほしいと考えます。

Grasp!のスタッフ及び関わっているビジネスパートナーさんにはまずこの様になっていただくことを望んでいます。


そのような考えが根底にあるのでGrasp!の日々の業務スタイルはちょっと工夫しています。

例えば、出勤日・勤務時間も原則、規定はありません。

それぞれの事情や仕事への向き合い方に合わせて仕事をしています。


そういった働き方の選択肢を増やしていくことは、その人が持てる社会との接点を増やす事にも繋がり、そういった新しいキャリアの形はGrasp!のような人生の在り方を伝えていく企業がどんどん体現して示していくべきだと思っています。


そういったことを突き詰めて考えていくと、「会社は社員に何をすべきか」「しないべきか」という疑問も、もしかしたら会社は何も出来ない可能性もありますね。


Grasp!では、こういった新しいキャリアや人生に対する考え方を広めていきたいと考えています。


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編集後記:

「チャンスをつかみ取る」「(人生の目的を)理解する・認識/意識する」キッカケを提供する、という理念を示すGrasp!の社名は、代表自らが自分の人生と向き合い、理解し、チャンスをつかみ取ることを仕事を通して体現しているように感じた。

まだこのような考えを持っている企業は数少ないが、今後ますますグローバル化が進んでいく中で新しい働き方を提供していく企業が増えることをGrasp!は願っている。

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