• Pham Viet Hai

仕事の未来(Part③)/The Times They Are a-Changin'

最終更新: 2020年11月17日


前回に引き続き、第四次産業革命における労働市場における企業と政府の役割について、より具体的には政府がどのように市場を舵取りするのか、企業はどのような政策に貢献・支援することができるのか、について議論していきたいと思います。また第四次産業革命の"The Blowing Wind"に追いつく上で労働力自体が同様に重要な役割を果たすことにも触れます。第四次産業革命における労働市場についての連載は今回が最終回です。前回とは異なりやや個人的な考えや議論に傾いておりすべての意見は筆者の主観によるものです。今回の記事の範囲はベトナムについてのものですが、その考え方の一部はグローバルでも応用できるものがあります。


1. 政府の役割


全体として、労働市場における政府の役割は非常に広い概念である。それは、経済における労働力の需要と供給に影響を与えることができる制度、政策、社会的規範、法律、規制、プロセスの組み合わせと完全性である。一般概念として第四次産業革命は、労働力に必要なスキル、訓練、教育が不足しているため、高いスキルを持つ技術集約型産業の労働力不足を引き起こすだろう。まともな政府は需要の縮小を望んでいないので、これらの産業の労働力供給を増やすという解決策がある。具体的には、第四次産業革命のために高いスキルを持ち、準備された労働力を設定することが政府の役割である。これを行うには、実現可能ないくつかのアプローチがある。


a. 見習い制度の強化

教育システムの第一の役割は、若者を労働力、特に高等教育のために準備することである。第四次産業革命の下での技術の変化と進化の速さを考えると、現在の教育システムが産業界の要求に追いつき、カリキュラムに適合させることは不可能である。この問題を解決しようとするのが見習い制度であり、若い人たちに実際に働く実験をさせることを目的として、企業や企業を教育の最終段階に組み込むことである。しかし、現在の制度では、すべての責任は企業側にある。このように、企業は資源を配分して訓練のリスクを取り、将来の雇用を約束せずに学生を教育しているため、モデルに参加してコミットするというインセンティブが少ない。ここで政府が介入すべきなのである。企業は、政府の資金援助や税制上の優遇措置によって、財政的にも実習に貢献できるように支援されるべきである。また、技術の進歩に伴い、より多くの技能が必要とされるようになるため、見習い期間を1年、あるいは1年半まで延長する必要がある。


b. 再教育のための助成金と情報ネットワーク

高いスキルを持つ労働力の供給を増やすための非常にシンプルな解決策は、既存の労働力を再スキル化・再教育することである。しかし、それを労働力自身に任せてしまうと再教育には多大な時間と資金が必要となり無駄になってしまう。それ以上に、かつては存在しなかった新しい仕事やポジションがますます趨勢を占めるようになっている。このため「情報・ガイドライン・助成金」など労働者の再訓練プロセスの舵取りをするための政府の介入が求められている。

c. 国家資格フレームワークの設定

第四次産業革命は労働市場に大きな変化をもたらしている。情報や知識のオンライン化に伴い、再スキル化する労働力の数が増えているため、非伝統的な方法で得たスキルを測定・評価する手段が必要である。国家資格のフレームワークは、個人の経験やスキル取得に関係なく、特定の分野で設計された包括的なタスクや評価によって労働力の能力を等級付けしている。これは産業界のニーズを確実に反映させるため、ビジネス界からの意見に基づいて構築されており急速に変化するビジネスの状況に対応するために頻繁に改訂されている。国家資格フレームワークの例としては、EUのEQF(https://en.wikipedia.org/wiki/European_Qualifications_Framework) やインドの国家技能資格フレームワーク(https://www.nsda.gov.in/nsqf.html)などがある。



2.企業の役割

ある意味では、企業・産業は政府が主導する政策において補助的な役割を果たすべきである。それは徒弟制度・情報ネットワークの構築、国家資格試験の設計など、様々な取り組みに積極的に貢献し参加することを意味する。特定の産業における企業の実際のInput Valueは、理論的な枠組みから実践的な応用や解決策への橋渡しとなる意味において、非常に貴重なものである。しかし、たとえ政府の支援や補助金を受けていたとしても、これらのプログラムへの貢献には直接的な利益や恩恵ではなくむしろ社会的責任として、産業界からの意義深いコミットが必要とされる。

また、効果や結果が中期的にしか見えないため、不確実性の要素もある。以上のような要因はいずれも、地域の労働市場を効果的に正しい方向に導くために、企業や産業界が政府と肩を並べてコストとリスクを負うべきである。


しかし、経済界がより積極的なアプローチをとることができないわけではない。特に言及すべきなのはCommunity Investment(社会的責任投資)であり、伝統的には組織の社会的責任部門または関連する財団に属するものである。これは独立したグループが開発したプロジェクト・アイデアや技術に資金を提供し、対象とするビジネスコミュニティの外部金融投資を更に拡大させたものである。第四次産業革命は技術の多用と変化のスピードの速さを特徴としていることから、革新的なアイデアやソリューションの出現につながる。革新への投資は決して悪い選択ではない。Community Investment(社会的責任投資)は組織の財源や専門知識を活用し社内の知識・ツール・リソースを適用し、地域経済や労働市場を育成する能力を強化しうる。 これは企業側とコミュニティ側の双方にとってWin-Winのシナリオである。


短期的には、企業は第四次産業革命によって創出された新しい仕事やポジションを満たすための人材獲得のプレッシャーを抱えることになるだろう。これは企業に対し明確な3つのオプションを負わせることになる:新しい才能の雇用、既存従業員の訓練と再トレーニング、または外部企業へのタスクの外注。市場は確かに高スキルを伴う仕事における労働力不足に直面することになり、最適な候補者を積極的に探し出し雇用することは高コストで困難な解決策であり、それは中小企業にとってさらなる真実となるであろう。概して,「外注」することは非常に魅力的な選択肢であり、時間とコストの両方を大幅に削減することができるであろう。既存従業員の訓練と再トレーニングは多くの企業にとって良い方向付けであり、第四次産業革命下で増加する需要に対し、ツールやプロジェクトを社内チームに最適化することに結びつく。もちろん、それを達成するためには、強力な社内教育プロセスが前提条件となる。


最後に人材紹介会社の役割について特に述べる。ベトナム国内の市場においては人材紹介会社の大半は、応募者の履歴書、経験、スキルとビジネスのニーズをマッチングさせる伝統的なMiddleman(仲介者)の役割を果たしている。一方、新しい労働市場においては人材紹介会社にはよりダイナミックな問題解決が期待されるだろう。それは、人材紹介会社が仲介者としての役割に留まらず、キャリアコンサルティングやアドバイスサービスへとその役割・存在意義を拡大していくことである。積極的なアプローチとしては、最新かつ正確な市場情報の提供、新たな役割に向けての求職者へのアドバイスやカウンセリング、再スキル化プロセスへの参加・組織化、さらには現在の労働者が新たなスキルセットや知識を習得するための短期的なプログラムの構築などが挙げられる。もちろん、政府もこのプロセスに関与し、人材紹介会社に財政支援やインセンティブを提供する必要がある。



3.労働力の役割

労働市場を導き、舵取りをする大きな責任は政府や経済界にあることは否定できないが、現在の労働力の地位を否定したり最小化したりすることも正しい真実ではない。現在の多くの仕事や肩書がテクノロジーやAI、自動化によって削減の危機に直面している一方で、第四次産業革命は、労働市場の参加者にとって魅力的で平等な活躍の場を生み出している。大多数の労働者は、技術の進歩によって生み出された新たな職に関する知識や経験がほとんどないため、誰もが同じスタートラインに立つことになる。これは、現在の労働力が自分の知識、スキルを再評価し、キャリアパスを再考する上で良いタイミングである。有用かつ信頼性のある無料のオンラインリソースにより、最小限のコストで新しいスキルセットを取得することを期待することができる。難しいのは、自分の能力に基づいてキャリアパスを設計することである。というわけで、政府や人材紹介会社は新しい労働市場のバランスを整え調整する上で重要な鍵となるだろう。現在の労働力に与えられる最も適切なアドバイスは、第四次産業革命がもたらす大きなチャンスを認識し、政府や経済界のコンサルティングやアドバイスの下、将来のキャリアを正しく計画し、時間的にも経済的にも制約のある中で、それらのガイドラインに沿ってトレーニングプログラムを改めることである。



第四次産業革命の概念が世界経済フォーラムで認識されて以来、ベトナム政府はこの新しい産業革命の重要性を着実に認識してきた。現在の第四次産業革命に向けた取り組みは、科学技術省が準備しており、ビジネスや行政へのイノベーションの開発と適用に重点を置いている。しかし私の個人的な解釈では、第四次産業革命に対しては労働市場が"準備体制にあること"と労働市場辞退の"再構築"が同様に重要であると考える。そこで、このような労働市場に関する一連の投稿を行い、政策や行動についての議論や提案を行うことにした。これは筆者個人の主観に基づく意見であり、解釈や議論は自由である。このシリーズにおける最後の注意点は、すでに第四次産業革命が起こり始めており、継続的に私たちの社会に影響を与え進化し続けるということである。それはリスクだけでなく機会もあり、政府・企業・労働力の協力は、この速い動き時代の流れの下、その利益を最大化するために必須であるという点である。

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