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ベトナム人材採用Tips 後半

更新日:2019年5月20日

〜「日本人のベトナム人論」論〜



前回は、ベトナム人材採用準備のHow Toとして、募集開始前に準備すべき点・注意すべき点について紹介いたしました。


後半の今回お届けするのは「日本人によるベトナム人論」論です。


日本人がベトナム人について、その国民性や特性を理解しようとする際に参考・言及する「ベトナム人は〇〇」という情報。

インターネットを中心とした各メディアを通じて形成されているのは


「ベトナム人はまじめ・勤勉・素朴・優秀」


こうした通説が未だに人口に膾炙しているのではないでしょうか。


今回は、日本人の間で形成されているこのようなベトナム人イメージについて、Grasp!流に分析・解釈していきたいと思います。


ベトナム在住9年の日本人キャリア相談員がベトナム人求職者のキャリア相談の中で得た「理解」とはどのようなものでしょうか?




「ベトナム人はまじめ」論


まず前提として、「ベトナム人は〇〇」や「日本人は〇〇」といった単純化はそれ自体に無理があります。しかし同時に俯瞰的に認識される特徴を把握することには、現実的に物事を進める上では一定の有効性があります。



例えば「まじめ」という言葉について。どなたであってもそれぞれの様々な定義・解釈を持っています。



日本人との比較でベトナム人に見られる特性として、特にベトナムに進出している日系製造業関係者の方からよく聞く話では、「一つの作業をずっとできる・反復作業を一日中やっていても苦にならない」というものがあります。


この種の特性が「忍耐力」や「地道さ」と解釈されて「まじめ」として表現されているのかと思います。


「忍耐力や地道さ」=「まじめ」

これ自体には何の問題もありません。


しかし、「まじめ」に対して、あまりにも多くの資質を期待してしまうとなると話は違ってきます。日本人にとって「まじめ」という言葉には「勤勉さ」「正直さ」「責任感」などの複数の意味が含まれている事が多いのではないでしょうか。


「ベトナム人はまじめ」と聞いて、無意識に「勤勉さ」「正直さ」「責任感」もまとめて期待していませんか?


こうした期待、みなさんの現実はいかがでしょうか?

ベトナム人スタッフの日々の働きぶりを見て「これらの要素が際立って高い」という印象にはならない事が多いのではないでしょうか(もちろん平均的日本人と比してまじめ・勤勉な方もおられます)。


「まじめ」という言葉に乗っかっている意味。これは、むしろ欧米や日本といった先進国出身者もしくはそうした国々で教育を受けてきた人々が、ビジネスにおける振る舞い方として自然に身についているものと感じます。


具体的な対策として、採用・登用・人事評価においては、具体的に「どの種のまじめさを求めているのか」をまず正確に定義することが、ミスマッチを防ぐ上では有効だと思います。



「サービス精神」


「まじめ」や「勤勉」さのイメージに関連して、特に非製造業やサービス業界でよく起こるミスマッチがあります。


「ベトナム人はまじめだから」というイメージで、精度の高いサービスが提供できるはずだと期待値を上げ過ぎて、そうではない現実に面食らってしまう場面です。


日本で生まれ育った方は、きめの細かいサービスを幼少期から日常的に体験しています。必然的に、サービスに対する目線そのものが高いです。


他方、ベトナムでは、きめ細かなサービス提供・サービスマンシップは日常ではありません。質の高いサービスとは何かを体験的に定義できる環境ではないため、それを提供できなかったとしても、むしろ必然なわけです。


「仕事に真摯である事」と「仕事ができる事」はそもそも別問題ですし、「責任感」があっても、知らなければできないわけです。



「ベトナム人は優秀」という評価


これも、採用エージェント・ベトナム進出コンサルなどでによく見かける表現です。

まるで自明の事実のように、何の追加説明もなくこのまま使われている事が多い言葉です。


「ベトナム人は優秀」


現実として、ベトナムに進出している外資系企業にとっては、ベトナムの高学歴層は地場系企業よりも外資系企業に勤めたがる人が多いため、「相対的」な意味での「優秀」な人材層に対してリーチしやすいという側面はあります。


「主語」は誰・何なのか?」「誰・何と比べてどうなのか?」

こうした情報に対する相対的・客観的な視点はベトナムにおけるビジネスにおいても極めて重要です。


「ベトナム人は優秀」という言葉。実際には「〇〇国の人と比較して優秀」とか、「思ってたよりは優秀」とか、「〇〇さんより優秀」など、個別の経験に基づく相対的な評価を語っているにすぎないのではないでしょうか?



自己評価の仕方


日本人の目から見ると、ベトナム人は文化面や人種面での近似性から「似ている」という感覚を抱く場面が比較的多いと思います。


しかし、当たり前ですが同じではありません。


特に、履歴書を見たり対面面接の場面では、「似ている」という認識よりも「違う」という認識の方が役に立つように思います。


なぜなら、自己評価の仕方・見せ方について、ベトナムはむしろ欧米寄りのスタイルで、自己を高く評価して提示する傾向が見られるからです。


何に対しても「できる」ととりあえず言う。


問題は、自己に対する評価は高いが、その自己評価の精度は決して高いわけではないことです。(いわゆる)盛っている分、額面通りに受け取るわけにはいきません。


「日本と似ている」という漠然とした感覚でいたり、「素朴」というイメージで固めて言葉を鵜呑みにしまうと、自己評価の精度について誤った判断につながる可能性があります。



採用Tips


このように、9年近く採用の現場でベトナム人と接してきた日本人キャリア・カウンセラーが、一般的に語られているイメージとは違った印象を体験している様子が伺えるかと思います。

そもそも掴みどころが非常に難しい一国の人々の特徴をその「漠然さ」と「理解のし難さにフォーカスをあて、その理由・特徴を考察するという試み。文章にするとその分かりづらさがさらに目立ってしまうという状態が今回の内容の難しさです。



では、実際の採用の現場では一体どうすればよいのか?


それは「これまでの思い込みで形成したベトナム人フィルターを一旦外して、事実ベースでの確認を徹底すること」です。


面接などの場面で、一歩も二歩も踏み込んだコミュニケーションを図ることです。


例えば、「前職の退職理由」を質問したとき、

「家族の事情です。」という答えが返ってくる事がよくあります。

なんとなく遠慮してしまいそうな所を更に踏み込んで確認する。

「家族がどうしたのですか?」

「母が病気で」

「お母様のご病気とあなたの退職はどのような経緯でつながるのですか?」


このレベルで事実ベースの確認をすることで、相手の論理的思考力や人となりが判断できるようになるのだと思います。



採用Tipsまとめ


いかがでしたでしょうか?


前半・後半のTipsをまとめると、


【募集前】

そもそも、どんな成果を求めてどんな人を採用したいのかをまず綿密に定義する。

【採用プロセス】

思い込みフィルターを一旦外して、事実ベースでの確認を徹底する。


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