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応募書類・履歴書写真と人材採用における選考について〜採用面接における「部屋の中の象」


こんにちは。ベトナムの人材紹介サービスGrasp!です。

今回は少しベトナムにおける人材採用、特に選考面接における小噺を一つ。

CV(履歴書)の写真と、面接での選考にまつわるちょっとしたお話です。

ベトナムで15年ほど人材紹介・採用支援に従事している筆者が最近、日々感じていることです。



人材採用における選考の場でも応募書類・履歴書写真を通じてElephant in the roomは発生します
人材採用における選考の場でも応募書類・履歴書写真を通じてElephant in the roomは発生します

世界共通の現象、そしてベトナムならではの傾向


米国ではCVの顔写真は差別による訴訟リスクから商習慣的に廃止されているといえます。

一方、日本・ベトナムでは引き続き、CVに写真を貼付けルノが一般的ですね。

そんな中、生成AIが勃興してきた昨今、CV写真の加工・修正が、年々増えている傾向にあります。証明写真アプリや簡単な補正機能が普及したことで、これは今や世界共通の現象と言えるでしょう。日本でも見られる傾向です。


一方ベトナムでは、その傾向がもう少しあからさまに表れることがあります。単なる肌の補正や明るさ調整といったレベルにとどまらず、元の写真をベースに、AIによってほぼ完全に再構成された写真を添付されるケースも見受けられます。技術の進化のスピードを、こうした場面で実感することが増えました。

少しでも良い印象を持ってもらいたいという気持ちは、万国共通の自然な心理であり、決して特別なことではありません。SNSのフィルターや「盛れる」加工技術の精巧さは、一つの技術として素直に感心してしまうほどです。


「真剣勝負」としての面接


ただ、ベトナム現地法人で採用担当も兼務されている日本人駐在員の皆様に知っておいていただきたいのは、その後に控える対面での面接という場面です。

ベトナムで一定数以上のCVとその後の面接を見てきた筆者の経験から言えることとしては、写真と実際の印象に大きなギャップがある場合、面接官の意識がそちらに向いてしまい、候補者が本来伝えたい内容——スキルや経験、人柄——に十分に集中できなくなってしまうことがあります。これは日本人駐在員の面接官にも起こりうることで、無意識のうちに第一印象との「答え合わせ」をしてしまう、人間の自然な認知の働きによるものです。


興味深いのは、このギャップについて誰もはっきりと言葉にしないという点です。まさに「Elephant in the room(部屋の中の象)」——誰もがその存在に気づいていながら、指摘すると失礼にあたるため、あえて誰も口にしない、という状態です。面接官は礼儀として、変わらず丁寧に、笑顔で面接を進めます。候補者側も「良く見られたい」という自然な気持ちで写真を選んでいるだけで、そこに悪意は一切ありません。それでも、その「見て見ぬふり」が、面接の空気の中に静かに漂い続けているのです。


誰も本気で信じていない不文律


ベトナム現地法人で採用担当も兼ねているであろう日本人の皆さんに一つ構造的な視点を共有させてください。

「外見で候補者を判断すべきではない」という原則は、採用の現場において非常に大切なものです。同時に、候補者が「第一印象を良くしたい」と考えるのも自然な心理ですね。そして面接官もまた人間である以上、第一印象から完全に自由になることは難しいものです。これはベトナムに限らず、日本を含むどの国の採用現場でも起こりうる、普遍的な構造だと私は捉えています。


採用担当者様へ、実務上の参考として


写真だけでなく、経歴や実績についても、ベトナムでは「良く見せる」ことへのハードルが、日本と比べてやや低い傾向があるように感じています。これは良し悪しの問題というより、文化的な背景の違いです。「自己アピールは前向きに、積極的に行うもの」「多少事実と表現にズレがあっても、結果的に高く評価されればそれで良い」——そうした前向きな価値観をお持ちの求職者はベトナム国内において、決して少なくありません。そこには、悪意や欺こうとする意図はほとんどないというのが、15年間現場を見てきた実感です。

そのため、写真と実物のギャップや、経歴の記載内容に多少の誇張を感じた場合でも、頭ごなしに問い詰めたり、「嘘をついているのではないか」といった論調で臨むことは、あまりお勧めしません。そうした温度感は、意図せず圧迫面接のような空気を生んでしまい、候補者が本来持っている力を十分に発揮できなくなるだけでなく、企業様側にとっても、その方の本質的な強みを見極める機会を逃してしまうことにつながりかねません。


弊社がお勧めしているのは、あくまで「事実ベース」「本質論」で会話を進めるアプローチです。例えば、「この実績について、具体的にはどのような役割を担われましたか」「この期間、実際にはどのような業務に携わっていましたか」といった形で、事実を丁寧に確認していく質問の仕方です。相手を責めるのではなく、事実を一緒に整理していくという姿勢で臨んでいただくことで、候補者も構えることなく、より率直に、より詳しく話してくれるようになります。


本当に見るべきもの

その上で、弊社が日系企業様の採用支援において大切にしているのは、「写真の加工」や「経歴の多少の誇張」そのものを問題視することではなく、面接という場全体を通して、候補者がご自身の経験や実績をどのように誠実に語られるかという点です。

進捗報告の仕方、課題への向き合い方、職務経歴の語り口——これらは面接の中で自然と表れてくるものであり、写真の印象や、履歴書上の見え方だけでは測れない、候補者の本質的な魅力や強みがそこにあると考えております。

弊社では、こうしたベトナムならではの採用現場の機微も踏まえながら、日系企業様が優秀な人材を見極められるよう、面接前の候補者情報の提供や、面接時に着目していただきたいポイントのご共有など、きめ細やかな支援を行っております。写真や経歴の第一印象に左右されず、候補者の本当の強みを見極めるお手伝いができればと考えております。




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