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ベトナム転職のその後インタビュー

最終更新: 6月16日

第5回ベトナム歴3年、32歳男性


水谷健太さん

Grasp!代表・熊澤が、過去にベトナムでのキャリア・転職をサポートした日本人の方にインタビューを行います。

ベトナムでの移住・転職後の予想外な変化、今の心境、今後のキャリアなどなど、ベトナム転職のリアル、お伝えします。




水谷さんのキーワード

「英語」「細部に魂を宿す」「自分軸」「突破力」


「ベトナム転職までの経緯は?」

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熊澤

私が2016年に水谷さんのベトナム転職のお手伝いさせて頂いてから3年以上経ちました。

現在も継続勤務中のFramgia (現 株式会社 Sun Asterisk)では今年初頭に東京本社に拠点異動されましたね。


これまでを振り返って、ベトナム転職までの経緯を聞かせてください。


水谷さん

僕は岐阜県出身で、今年33歳になります。

大学進学と同時に上京して情報系の大学に通っていました。

その頃からバンド活動を始めて、ギタリストとしてライブをしていましたよ。


熊澤

岐阜県あたりの人だと名古屋か大阪に行く人が多い中、東京に上京したんですね。


水谷さん

地元の人たちは、子どもを地元に残したがる人が多くて、東京よりも愛知の大学に行け、という風潮があります。でも僕はどうしても東京に出たくて、「仕送りゼロでいいから東京の大学に行きたい」と言ったら本当に仕送りなしで大学生活を送ることになったんですよ。


当時はメタルバンドをやっていて、長髪だったのでアルバイトの面接は全然受からなかったですね。日雇いのガテン系アルバイトでバンド活動費と生活費を稼いでいたので、貧乏学生でした。


熊澤

大学で情報系の学部を専攻をした理由は?


水谷さん

がOA機器メーカーの営業をしていて、小学生の頃から家にPCがあってゲームで遊んでいたんですよ。当時、全校集会では同級生が手書きのスライドで発表しているなか、図書委員長の僕はその頃からPowerPointを使ってプレゼンしていましたね。


熊澤

ははは!すでにめんどくさそうな男っ!


水谷さん

高校時代、進路を考えていた時、子供の頃からPCが得意だったから情報系の専攻に決めました。



熊澤

大学在学中は海外に行こうとかは考えていたんですか?


水谷さん

特に考えてはいなかったです。漠然とした憧れはあったけど、自分が実際に海外に出て働くとは思っても無かったですね。

大学で英会話クラスもあったけど、何回か受けてすぐ辞めましたし。


熊澤

大学卒業後は新卒で開発会社に入社されましたね。


水谷さん

はい、ネクストスケープでは7年間、システム開発を上流工程から下流工程まで一気通貫で担当していました。


ちなみに今も活動しているThe Azukiwashers(http://www.theazukiwashers.com/)は社会人一年目にスタートしました。でも音楽だけで食べて行こうとは全く思っていませんでした。

オールドスクール・デスメタル・ポップという超ニッチな音楽をやっていたので、それが万人受けするとは思ってなかったし。かといってメインストリームな音楽をやるつもりも無かった。売れたいというより、好きな音を追求し続けています。



熊澤

ネクストスケープさんに入った理由は?


水谷さん

ネクストスケープは音楽配信サービスの構築が得意な会社で、そこに入れば音楽業界の現状や課題が見えるかもと思ったんです。数年働いた結果、これではロックスターは生まれないな、と悟って方向転換しました。


熊澤

ネクストスケープ在職中にアメリカツアーを2回敢行したんでしたね。


水谷さん

アメリカは広い国で、自分たちよりハイレベルなバンドやプレイヤーが既に山ほどいる環境であることが分かりました。外国人である自分たちが今から攻め入るには、ちょっと現実的でないかもしれないと思ったんですね。当時は今ほど英語も話せませんでしたし。


これまで多くのミュージシャンは、経済成長があって、格差のある環境からメッセージを発信してきたと思うんです。今の時代にそういったエネルギーがあって、若い才能が生まれる可能性がある地域はどこだろうと考えて、アジアに注目するようになりました。


熊澤

アメリカツアーが人生のターニングポイントとなってマインドセットが変わって、英語学習に心が向いていったんですね。


水谷さん

そうですね。2015年になって、2回のアメリカツアーも終わって音楽配信案件が落ち着いた頃、音楽業界に関して学べることは学んで一区切りついたところでした。


その頃、今後の自分のキャリアを見据え、危機感を抱いていたんです。入社当時から読んでいたThomas L. Friedmanによる名著の影響を受け、成長スピードが日増しに加速する市場の中でどのように生き残っていくかを考えた時、海外に行くには英語が必要、と感じました。


そこで英語力が圧倒的に足りていない事に気づいて、フィリピンのセブ島に語学留学に行きました。英語が出来ると、機会が広がる事に気づきましたね。ここでの経験が後のベトナム生活にも役に立ったと思います。


英語の勉強は今でも継続的に続けています。ベトナム在住時は、英語、ベトナム語、中国語などの複数の言語学習を趣味のように続けていましたね。


熊澤

水谷さんは余暇を楽しむよりはずっと修行してる感じですね(笑)。

自分で決めたことを実行することが苦にならないように見えます。


水谷さん

そうですね。ストレングス・ファインダーなどの適性診断を受けると、僕の場合「回復志向が高く、何かしらの問題を見ると救わずにはいられない」と出ます。そこにゲーム感覚があり、楽しんでやれるスキルを持っているという特性があるようです。

「このまま放っておくとこうなるな」、というのを見つけられるので、問題を予防出来るし、そういう事を考えるのが好きですね。


熊澤

そういった水谷さんの性格の特性が仕事でも活きているんですね。




「細部に魂を宿す」

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熊澤

フィリピン留学からの帰国後、ベトナム移住を決めたキッカケは?


水谷さん

未開拓の音楽シーンがあって、そこで自分のITスキルと経験が活かせる場所があるということに重点を置いてベトナム転職を決めました。

音楽教育もまだ進んでおらず、ベトナムの音楽業界には未知なる可能性があると感じたんです。




熊澤

Framgiaさんへ入社後、どのようなことを担当されていたんですか?


水谷さん

最初の1年はいわゆるPM(プロジェクトマネジャー)の仕事を担当していました。

クライアントのソフトウェア開発案件に関わる、いわゆる一般的なオフショア開発現場の管理者です。アーキテクトとして、クライアントの要望を元にシステム全体の設計を行うような仕事も担当していました。


その後の2年は、全体PMO(プロジェクトマネジャーオフィス)のメンバーとして開発現場の組織作りや教育にも携わりました。

インシデント対応を行って、恒久対策の施策を全社に流し込んだり、プロジェクトマネジャーの課題解決サポートを行ったりしていましたね。





熊澤

水谷さんが在籍中にFramgiaさんはずいぶん大きくなりましたね。


水谷さん

そうですね。入社当時はこんなに規模が大きくなるとは思ってもいませんでした。

会社が大きくなっていくのを目の当たりにして、整ってなかった組織を少しずつ組織として成り立たせる事に携われたので結果的には良かったと思います。


熊澤

ベトナムで就業して得られたことは何ですか?


水谷さん

Framgiaは放任主義で自由にやらせてくれる会社でしたし、初動の悩みが無くなって突破力とスピードが身に付いたことですね。

悩んで考えてばかりいるんじゃなくて、「やってみないと始まらない。とりあえずやってみる」というスキルが身に付きました。


開発PMO以外の仕事も、得意でない事を敢えて無理してでもやってみて、自分の得意なことを探してみたりしましたね。

目の前に敵が現れたら倒す!というゲームのような感覚です(笑)。


素早く色々な経験をしていきながらも、ひとつひとつを丁寧に深く考えて作り込んで、細部に魂を宿らせることが得意であることが分かりました。


熊澤

Framgiaでの3年で社内での自分の役割と自分の特性をマッチさせていったんですね。

水谷さんは自分自身にベクトルが向いているタイプですね。


水谷さん

そうですね。キャリア選択の方向性では常に中心に自分自身を置いています。それは、変化の早いこの時代に、最終的に自分を救えるのは組織ではなく、自分自身であると思うからです。だから常に自分軸をしっかり持つようにしているんです。


熊澤

ベトナムで働く中で大変だったことは?


水谷さん

1,000人以上もいるベトナム人メンバーの輪の中に入るのは大変でした。

そこを突破して、どうやってみんなを巻き込んでいくか、と常に考えていましたね。


熊澤

働いているうちに社内での水谷さんの存在が強くなっていったんですね。

ところで、ベトナムで音楽活動は続けていたんですか?


水谷さん

はい、日本にいるメンバーとはリモートでレコーディングをして活動を続けていました。

ベトナム現地でもバンド活動をしていましたよ!


たまたまVTV(ベトナムのテレビ局)からインタビューを受けている日本人の方を見かけて声を掛けました。それがきっかけとなって、ベトナムでもいわゆるメロコアバンドで音楽活動をしていました。


その後、同じくインタビューを受けていたベトナム人バンドマンも含めたメンバーでバンドを組み、2枚のEPを作りました。レコーディング・ミックス・マスタリングなどのオペレーションは僕が担当しました。





「ベトナムから東京へ。そして新しいステージへ」

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熊澤

今年の1月、3年のベトナム勤務の後に本社異動になったんでしたね。


水谷さん

はい。正直、渡越当時は日々の生活や仕事に無我夢中で、何年居ようとか何年後に何しようとかまでは考えてませんでした。


実は今年の5月に結婚したのですが、今後のことを考えて、生活の拠点をどこに置くか考えていたのが去年の12月だったんです。家族のことなどを総合的に考えて、日本に戻ることを決めました。


熊澤

日本に帰国し、この半年間東京本社で働き、今考えている事は?


水谷さん

現場に残すべきものは残せたと思いますし、あとは3-5年掛けてベトナムのリーダーたちが自分たち自身で現場を改善し続けてくれるという確信がありました。そろそろ自分自身のことを考えても良いかなと思ったんです。


熊澤

そして新しいターニングポイント、東京での転職になるわけですね。


水谷さん

ちょうど最近次の転職先に内定が決まった所で、8月から勤務開始予定です。

今回の転職では50社ほどに書類を送り、その内3社から内定を頂きました。

その中で自分の方向性・キャリアパスに最も合致した外資系企業に入社予定です。


熊澤

そうですか。おめでとうございます!

次の職場ではどのような業務を担当するんですか?


水谷さん

クライアントと並走しながら、業務自動化ツールの導入支援を行います。ツールの導入に関連する業務のコンサルテーションなども行います。


業務分析や開発ではコンサルティングファームやSIerとの協業もあり、そういったチームではベストプラクティスを持つツールベンダーとして、PMOの役割も担います。ツールの機能改善などでは、アメリカ本社のメンバーと英語で仕事をする場面も期待できそうです。


熊澤

今までの経験が活きる職場ですね。


水谷さん

そうですね。開発PMOの経験とスキル、英語力などが活きるポジションです。

自分の強みに更に特化しながら可能性を広げていけるし、そういったスキルや経験が評価される職場であると感じています。年収も1.5倍以上になりました。


熊澤

水谷さんの類まれな経験やスキルが正当に評価された結果ですね。

では、ベトナムから東京に戻って感じることはどんな事ですか?


水谷さん

人口密度が高いですね。

海外にいると日本語が聞こえてくると耳が日本語を拾おうとしてしまう癖がついてしまったので、日本に戻ってきて人が多過ぎる中で、聞こえてくる母国語の雑音を耳がいちいち処理しようとしてしまうのでストレスですね。


熊澤

海外在住が長い人が日本に帰国した時によく経験することの一つですね。

ベトナムから日本に帰国した今、20代の若者にベトナム就業を勧めますか?


水谷さん

視野を広げたいならすごくおすすめですね。

でも行くなら、行く前に3-5年くらい専門性を高めてから行くのが良いと思います。

自分が持っている経験やスキルを通して思いもよらない人脈に出会えたりしますからね。

自分の「これが得意」を持って、専門性を横に広げられる組織、出来たら日系に限らないで英語を使えてグローバルな職場を選ぶと良いと思います。


熊澤

水谷さんの実体験が物語っていますね。

しっかり自分の「得意」を持ってからの海外の方がよりしっかりとキャリアを身につけて人脈も広げていけますからね。

では、今後やっていきたいことを教えてください。


水谷さん

漠然としたアイディアですが、インドか中国には行ってみたいですね。

20~30年後に世界の中心になるところで世界のトッププレイヤーとして戦うのはすごく楽しいと思います。

目の前に楽しめるゲームがあるといい。それが得体の知れないものだったらもっと面白いと思います。


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編集後記:

水谷さん、インタビューに応じていただき、誠にありがとうございました。

お話を伺い、難題多発・攻略難なゲームの中で武器を増やしながらどんどん突き進んでいく冒険ゲームの主人公が思い浮かびました。発する言葉が理知的で論理的な理系男子のように聞こえましたが、一つ一つの仕事に魂を宿しているということから、自分の仕事に真摯に向き合う職人魂も感じ、感銘を受けました。

今後の水谷さんの更なるご活躍をお祈りしております。




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