Grasp!代表・熊澤が、過去にベトナムでのキャリア・転職をサポートした日本人の方にインタビューを行います。
ベトナムでの移住・転職後の予想外な変化、今の心境、今後のキャリアなどなど、ベトナム転職のリアル、お伝えします。
ひびさんのキーワード
「大義」「柔軟性」「自分ブランド」
「大義か収入か」
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熊澤:
私は長年ベトナムで人材関係の仕事をしていますが、現地採用で来る日本人でお金(収入)に優先順位をおく人が以前に比べて増えているように感じます。
日本の水準だけで給料を考えるのであればベトナム転職はメリットが少ないため、私はあまり勧めないのですが、今後Grasp!ではベトナムでキャリアを成熟させていくための現実的な情報や状況を提示していきたいと思っています。
その中で、ひびさんのようにお金以外の大義を大切にしている方のリアルをあぶりだしたいんです。
ひびさん:
大義か収入かの話になった時、もちろん生活をしていくだけの収入は必要になるけれども、現在の私のようなフリーランスの場合、収入はタスクに対しての対価が基本な訳で、そうすると収入を上げていくにはプロフェッショナル化するか作業量を増やすしか無いんですね。それはしんどい!
タスクに対する報酬、では無く、”この人に価値はあるか?”が大事。
タスクに対する作業量ベースではなく、”この人は私の会社に良い影響を与えてくれる、知らない情報をくれる、お客さんを紹介してくれる”など、求められているタスク以外の事を提供することでできれば、報酬は作業ベースでは無くなり、私自身がその会社にとって”価値ある存在”となれるのではないかと思います。
熊澤:
ひびさんブランドですね!
ひびさん:
そうですね。
私が選挙に立候補していた時、街頭演説をしていたら、見知らぬおじさんに「”みんなの党のひびです”と連呼してもダメだよ。政党の名前を使っていては、自分のやりたいことはできない。自分はひび党の党首だ!自分自身の看板を掲げて演説しないと当選しないし、いつかそれは使えなくなる」と言われたんですよ。それは非常に良い教訓となりました。
その教訓を踏まえて、「ベトナムのひびさん」と、自分自身の認知度を上げる努力を続けています。
熊澤:
私もどこどこ会社の誰々、ではなくベトナムの熊澤、ベトナムで人材のことをしている熊澤を目指しています。
早くこのポジションをとってしまえば差別化というより、競争のしようがなくなりますしね。
ひびさんは、大手企業勤務⇒退職⇒都議選立候補⇒転職⇒ベトナムでフリーランス、と珍しい生き方だと思いますが、僕は、今後「何やってるのか良くわかない」人が生き残り、そういうキャリアの持ち方が日本人の役に立つと思います。
ひびさん:
そうですね。
自分自身、この働き方は時代を先取したスタイルだと勝手に思っています。(笑)
自分のスキルのリミットを外して、やりたいことまで含め、チャンスを得るようにして行けば、自分の成長は続きますし、収入源も増えると思います。成熟した日本社会の中だけでそのような動きをするのは難しいですが、海外での活動、海外との交流を持つことでその可能性が出てくると思います。
私のコアスキルが何か?と聞かれたら、私のコアはリーガル分野、トラブルシューティングです。しかし、ベトナムへ進出する日系企業にとっては分からないことが沢山あります。どんな会社と組むべきか、どんな人が信用できるか。
そんな中で自分のフィルターを通して、自分が良いと思った人や会社をお客さんにレコメンドして、その結果、お客さんのビジネスが上手くいくのであれば、自分が関わった価値があると感じます。
自分のフィルターの「信頼性が高い」ということを大切にしています。
熊澤:
ひびさんは専門のリーガル分野以外にもライターやアイドルのマネージメントなど色々な事をしていますね。
ひびさん:
そうですね。
コアのスキルで「自分はこの職人です」と決めつけない方が良いと思います。自分のやりたいことがあったら、出来るだけチャレンジしてみる。
コアスキル以外の仕事にチャレンジすることで、自分の成長が期待できますし、今までと違う人脈が広がったり、そこから仕事に繋がったりしますからね。
今、ベトナムに在住している日本人向けの情報誌「Vetter」のライターをやらせてもらっています。取材を通じて、今までの仕事では会えないような人に会えて、人脈が拡がりました。また、メディアの仕事をすることで自身の情報発信力が増えたように思います。個人的にやっているFacebookでも手応えを感じます。
↑記事の執筆をしているベトナム在住日本人向け情報誌Vetterの三好社長(中央)、営業担当の鎌田さん(右)とひびさん(左)
熊澤:
アイドルのマネージメントとはどのようなことをしているんですか?
ひびさん:
ハノイで、アイドルのオーディションをして、ベトナム人の新人を発掘したり、ダンスや日本語のレッスンをアレンジしたり、撮影のコーディネートなどをしています。
日本では、ファンが未成熟なアイドルを応援してる育てるという文化があります。これは、日本の文化です。ベトナムには無いものです。
こういう日本の良い文化を持ち込むことによって、ベトナム人の成長や活動の場が出来る、という意味があるのではないか、と思います。
それにベトナム人の女の子は可愛いし、しっかりしてますからね!それを日本人に伝えたいです。
熊澤:
ひびさんらしいですね!(笑)
↑マネジメントをしているベトナムアイドルの「COL」
写真|高原 慶祐(TAKAHARA KEISUKE)
「 ベトナムの魅力 」
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熊澤:
帰任した後、再びベトナムに戻った理由を聞かせてください。
ひびさん:
まず、駐在員として赴任して当時はベトナムの人件費の安さが魅力だった訳ですが、経済成長と共に国内のマーケットも成長し、消費者の購買力も上がりマーケットとしての魅力や将来性があると感じました。
それと、自分が45歳で日本で転職活動した時にとても苦労したんです。
でも、日本での知識、経験や人脈を上手く使えば、ベトナムではまだこの年齢でも仕事のチャンスが色々ある。
私の場合、最初はゲーム関係の仕事にフォーカスして探していたんですが、ベトナムではまだゲーム産業が育っていない。ゲーム産業に絞ってしまうと仕事が少ないことに気付いたんです。
私はゲーマーではありません、ゲームを作りたいプロデューサー、ディレクターの作品作りをサポートするのが好きでした。
ベトナムで何かやりたいという日本人、日本企業のサポートする仕事が自分にあっていると思い、視野を広げ、色々な業界まで幅広く携わるようになりました。
現在は、ホテルビジネス、ビジネススクール、スイミングスクール、IT開発会社などのサポートをしています。
あと、ベトナムにいると自分が若い状態でいられることも良いですね。
今年51歳になりますが、日本にいると51歳の扱いをされるし、自分の中でも”そこそこの年齢になっている”という気持ちになる。
でも、ベトナムでは、自分が35歳と思い込んでいます。ベトナムの若い人と多く交流できて、とてもチャレンジング。一緒に仕事するのが楽しいです。
そして何と言ってもベトナムには美女が多い事がいいですね!(笑)
↑マネジメントしているベトナムアイドルの「COL」
写真|高原 慶祐(TAKAHARA KEISUKE)
「 自分の強みと今後の活動について 」
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熊澤:
営業活動や自分の売り込みはしているんですか?
ひびさん:
お金をかけたプロモーションなどしてません。子供の頃から今までの友人知人がFacebookで繋がっています。私がどのような人か、どのような仕事をしてきたか、よく知ってくれている人達です。
ベトナムで頑張っている姿をFacebook上で情報発信し続けることで、友人知人たちからのベトナムに関する相談や紹介をもらうことができています。皆さんにはとても感謝しています。
熊澤:
いわゆる営業活動とは違いますね。
ひびさん:
最初から今みたいな情報発信は意識していませんでした。
でも、こうやって海外で仕事して活動してる人がいる、という発信は、そんなことも可能なんだ!そんなことをしてる人もいるんだ!という気付きを与えることにもなりますからね。
また、Facebookは、日本ではOLD SNSかもしれませんが、ベトナムではとてもメジャーなSNSであり、メディアです。日本とベトナムの交流を進めるためには、とても良いツールなのです。日本語ができるベトナム人とどんどん友達になって、交流を深めています。
熊澤:
起業でも駐在員でも現地採用でも無い存在というのはベトナムではとても珍しいですしね。
これまで培ってきたものがあるから出来る。ひびさん自身の財産ですね。
ひびさん:
街頭演説の時に、見知らぬおじさんから「自分自身の看板を掲げて演説しないと当選しないし、いつかそれは使えなくなる」と言われた教訓はとても大切にしています。
ベトナム人の自営業率はとても高いですね。会社で仕事をしていても、副業をしている人は多くいますし、起業を考えている人も多くいます。
また、ベトナム人経営者は、多角的な事業を積極的にしています。ビジネスチャンスがあれば、どんどんやります。職人的な発想ではないですね。
そういった意味では、ベトナムでは、仕事に垣根は無いし、ビジネスチャンスは自分次第と感じています。
熊澤:
大手企業から退職して都議選立候補、そして無職、はたまたベトナムでフリーランス、とその状況に柔軟に対応出来ることがすごいと思います。なかなか出来るものじゃないです。
特に大手企業の方はプライドもあってガチガチになってしまう人が多い中、やってみようと思えるのは不思議だな、と思いました。
ひびさん:
昔の同僚からは、法務部時代とは別人になった、とよく言われます(笑)。当時の自分からは随分変わったと思いますよ。
熊澤:
Grasp!は生き方について考える切り口を提供していかなければならないと思ってます。
その中でひびさんのように法務部のような固いところから、現在のように変わっていける人の生き方はとても面白いと思います。
ひびさん:
皆さんが自分と仕事をしたいと言ってくれるのは自信となってます。なので、求められたら柔軟に自分を変えていけるんですね。自分が変化しながら要望に応えられるようにしたいと思います。それがカジュアルな個人からの要望でも、大企業からの依頼でも。
熊澤:
ところで、日本に残されたご家族はどのようにひびさんを見ていらっしゃるんですか?
ひびさん:
ベトナムに来たタイミングが良かったんですね。その頃、娘たちはもう高校生・大学生なので物理的にはもうお父さんを必要としませんでした。多分(笑)
奥さんも自分でバリバリ仕事をしていましたし。
当時、高校生だった長女は、やりたいこともなく、将来へのイメージが無い子だったんですが、私がベトナムで仕事するようになってから、海外に興味を持ち始め、海外に住みたい、海外で仕事をしたい、と言い始めまして、海外留学できる大学に進学しました。
去年はスペインに1年留学して、沢山海外旅行にも行き、現在は海外で仕事ができる企業を狙って就活しています。
熊澤:
娘さんにも良い影響を与えられていたんですね!
では、今後の活動について宣伝してください!
ひびさん:
今、私が提供出来ることは、
■ベトナムへの進出支援、ビジネスマッチング
■新規事業開発
■法務関連業務
日本とベトナムで培った豊富な知識と経験、ノウハウがございますので、気軽にご相談ください。
あと、今後、積極的にしてみたい仕事としては、「子供の教育関連」です。
日本には子供のための教育ノウハウがたくさんありますが、少子化によってニーズは減る一方です。子供の教育への関心が高いベトナムに日本の教育関連のノウハウをご紹介したいですね。
ご興味のある方は下記の連絡先までどうぞ:
ひび やすまさ(日比靖昌)
hibiyasumasa@gmail.com
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編集後記:
ひびさん、インタビューに応じていただき、誠にありがとうございました。
置かれた環境の中で自分を柔軟に変化させてスキルを伸ばしていくという事が大切で、
何をやっているのかよく分からない、色んな事をやっている、そんな人が今後生き残り、新しい道を示していくのでしょう。
今後のひびさんの更なるご活躍をお祈りしております。
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